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台風の進路と発達

目 次
台風の進路
月別による台風の進路の違い
台風の進路と風向き
台風の進路と雨量
台風の発達と衰弱のしくみ
台風の発達と海面水温
 
台風の進路

台風は、おおむね上空の風に流されるように動き、上空3~5kmの風と対応がよい。また、地球の自転の影響で、わずかではあるが北へ向かう性質がある。
  
低緯度の上空では常に東風が吹いているため、台風は西へ流されながら北上する。上空の風の流れが弱くなると、台風はゆっくり北上する。中・高緯度帯に入ると、上空では強い西風が吹いているため、台風は速い速度で北東から東へ進む。

月別による台風の進路の違い

月別による台風の進路台風は、春先は低緯度で発生し、そのまま西に進んでフィリピン方面に向かうが、夏になるにつれ、発生する緯度が高くなり、向きを変えて日本方面へ向かうものも多くなる。秋が深まるにつれ台風は、再び低緯度で発生するようになり、ほとんどが西へ進んでフィリピン方面へ向かうが、一部は日本の南海上を北東へ進むようになる。
 
経路の変化は太平洋高気圧の位置や強さ、張り出し方、偏西風の位置などによる。
 
台風が進行方向を変えることが転向で、その場所を転向点と言う。普通、西のほうへ進んでいた台風が、北から北東のほうへ向きを変えた場所を指す。

台風の進路と風向き

台風の中心が西側を通るときは、風向きが時計回り(例えば北東→東→南東)に、反対に東側を通るときは、風向きが時計回りと反対に変わる。また、風向きがほとんど変わらずに風が強くなってくるときは、台風がまっすぐに接近しているときである。
 
台風の目に入ると、風が急に弱くなり、目が通過すると、風向きが反対になり強い風が吹き出す。

台風の進路と雨量

台風による雨は、台風中心の降雨、地形性降雨、前線による雨、らせん状に台風を取り囲む降雨帯による雨などがある。
 
台風の中心からおよそ200~300kmの範囲で強く降る雨は最大風速が強まると、それだけ中心付近の上昇気流が強まり、その結果、強く雨が降る。
地形の起状によって空気が強制的に上昇させられるために、山の風上側に降る雨のことを地形性降雨と言う。風速が強いほど、また地形の傾きが急なほど強い雨となる。
 
台風の進賂が似ていると、台風中心の降雨と地形性降雨は、同じような雨量分布になることが多い。

台風の発達と衰弱のしくみ

熱帯地方で空気が渦を作ると、中心付近で強い上昇気流を作り、積乱雲を発達させる。発達した積乱雲の中では、水蒸気が水滴に変わり激しい雨が降るが、このときに多量の熱が発生し、中心付近の空気を暖める。
 
暖かい空気は軽いので、中心付近の気圧が下がって、下層の空気がいっそう強く吹き込み、中心付近ではより強い上昇気流が出来る。このような一連の過程で台風は勢力を保ち、発達していく。
 
台風が上陸した場合に急速に衰えるのは、地表面との摩擦によってエネルギーが失われると同時に、水蒸気の補給が断たれるからである。

台風の発達と海面水温

台風をはじめとする熱帯低気圧は、空気中の水蒸気が水に変わるときに発生する熱をエネルギー源として、発達したり勢力を維持したりしている。このため、海面水温が高いところでは水蒸気を多く含むので、台風は発生・発達しやすくなる。過去の統計によると、海面水温が約27℃以上の海域で発生し、この温度より高い海域にあると発達しやすい。また、寒帯や陸上では発生しない。