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台風の構造

目 次
台風の風
台風の風速の分布
気圧の分布・中心気圧
台風の目・雲の分布
 
台風の風

台風の風台風の一生は、発生期、発達期、最盛期、衰弱期の4つに分けられる。発達期では、中心気圧は急激に低くなり、中心付近の最大風速も急速に強まる。最盛期を過ぎると、中心付近の最大風速は徐々に弱まるが、暴風の範囲はかえって広がる。
 
衰弱期では、中心気圧が高くなり、中心付近の最大風速が弱まるのが普通であるが、温帯低気圧に変わっても、中には、寒気の影響を受けて再び発達するものがある。
 
日本へ接近する台風は、主に最盛期と衰弱期のものである。

台風の風速の分布

台風の進行方向に向かって右側では左側に比べて、風が強く吹く。これは、右側では、台風自身の風と台風を動かす流れの方向が同じため、風が強くなるのに対して、左側ではそれらが逆になるためである。
 
昔、帆船時代には台風の右側では、台風の中心から逃れようとすると、強い風に加えて向かい風で逃げられなくなったのに対し、左側では、追い風を利用して台風の中心から遠ざかることが出来た。
 
暴風域は平均風速毎秒25m以上の風が吹いている範囲を、また、強風域は平均風速毎秒15m以上25m未満の風が吹いている範囲を指す。気象庁の発表する情報などでは、「毎秒25m以上の暴風域」、「毎秒15m以上の強風域」と言うように、具体的な風速を付けて使われる。1975年に気象庁は、暴風圏、強風圏をそれぞれ暴風域、強風域に改めた。

気圧の分布・中心気圧

台風の気圧台風の等圧線はほぼ円形で、温帯低気圧が前線を伴って非対称であるのと大きく異なっている。この円形の等圧線は、中心付近ほど込んでおり、中心付近ほど風が強いことに対応している。
 
台風の中心付近の上空は、水蒸気が水滴に変わるときに発生する熱によって、周囲より気温が高くなっている。したがって、中心付近は軽い空気が上空にあるわけで、地上気圧は周囲よりかなり低くなる。温帯気圧が950hPa(ヘクトパスカル)以下になることはほとんどないが、台風は、900hPa以下になることもある。台風の中心は、気圧がいちばん低い場所と定義されており、気象衛星やレーダーから見た台風の目の真ん中とは多少異なる。

台風の目・雲の分布

台風の中心にあって風が弱く雲のない区域を言う。大部分が円形だが、長円形のものも2割くらいある。直径は20~100kmくらいで、平均すると40~50kmである。
 
台風が日本付近に来るころには、衰弱していたり、温帯低気圧に変わりかけていたりして、台風の目がはっきりしていないことが多い。
 
台風の目は下降気流のため雲はないが、その周囲には台風に吹き込んだ強い風が上昇気流を作り、背の高い積乱雲の壁を作って高さは16kmに達する。
 
この雲の壁に向かって、らせん状に吹き込む下層雲の列があり、また、壁から外に上層雲が吹き出ている。
 
台風はひとつひとつ様相が異なっているが、雲の位置や大きさ、形、雲の種類などを整理・分類することにより、台風の中心気圧や最大風速などを推定することが出来る。