近年の日本は、阪神大震災 北海道十勝沖地震、新潟県中越地震、福岡県西方沖地震など震度5以上の地震が多発している。専門家の間では、地震は南関東や西日本は地震の活動期に入ったとの見方が有力で、いつ大地震に遭遇してもおかしくない状況と言われている。では、なぜ地震は起こるだろうか。
地下の岩盤はプレートの動きにより圧縮や引っ張りなどの力でひずみ、種類の違うプレートがもぐり込み合う。このもぐり込み合いは、大地に大きなエネルギーを蓄積する。地震は、そのひずみが限界に達したときに、元に戻ろうとする急激な運動が生じ、エネルギーが一気に解き放たれ、岩盤が壊れる現象である。岩盤が壊れると、そこに断層が出来る。つまり、地震は断層が出来るときに地面が揺れる現象でもある。
地球の表面は、十数個のプレートと呼ばれる大きな板状の岩石の層の寄り集まりで出来ている。プレートは、海嶺(海底の大山脈)付近で地球の内部からわき出て来た岩石でつくられ、1年間に数センチメートルという、非常にゆっくりとした速さで水平に移動する。
一方、プレートが地球の内部に沈み込んでいく地域がある。ここが海溝である。
例えば、太平洋プレートは、南アメリカ大陸の沖でわき出した後、西に進み、およそ1億5000万年かかって日本海溝にたどりつき、ここで日本列島が載っているユーラシアプレートや北米プレートの下に沈み込んでいる。
日本周辺には、種類の違う4つのプレートがもぐり込み合っている。このプレートのもぐり込みによって変形が生じ、大地は大きなエネルギーを蓄積する。そしてある一定のところまで変形が進むと、今度は元に戻ろうとする急激な運動が生じ、そのエネルギーが一気に解き放たれるのである。
これが、日本の太平洋沿岸で発生する典型的な大地震である。
第四紀と呼ばれる最近の地質時代(最近の200万年くらい)にずれ動いた断層を、活断層と呼んでいる。「活」とは、今も活動しており、今後も活動するおそれがあるという意味である。
ただし活断層はいつも絶えず活動しているわけではないし、動く周期や、いつ再び動き出すかという予測も難しいのである。
阪神・淡路大震災を引き起こしたのは、深さ16キロにある野島断層という活断層で、その断層が突然動き出し右横ずれが起こった。それを引き金に時速1万キロの猛スピードで、兵庫県南部の海岸線に隣接する浅野断層、須磨断層、諏訪山断層、芦屋断層が連鎖反応的に破壊されていった。長さにして約40キロ、最大幅20キロの断層帯をたった十数秒で破壊したのである。
日本全国には、現在分かっているだけで大きな活断層が約2000ヶ所あると言われている。しかし、その存在が分かっていない活断層も多い。
地震は、地下の岩盤が壊れて断層が出来る際に地面が揺れる現象である。断層は、岩盤のずれ方によって、何とおりかに分類されている。
上下方向にずれる場合を縦ずれと言い、水平方向の場合を横ずれと言う。ずれた面に向かって立って、向こう側が左にずれている場合を左横ずれ、右にずれている場合を右横ずれと言って区別している。実際の断層は、縦ずれと横ずれが組み合わさっている。
縦ずれ断層は、逆断層と正断層に分かれる。隆起した側の地盤が他の一方にのし上がるような場合が逆断層で、これは押す力の強いところで出来る。反対に、片方がずり落ちるような場合が正断層で、これは引っ張りの力の強い場所に出来る。
地震がなぜ、どのようにして、起きたかかを知るためには、断層の出来方を調べることが大きな手がかりになる。
関東で地震が多いのは、このプレートが複雑にもぐり込み合うという地質構造のためだ。このために引き起こされる地震は、数回にわたる小さな地震の後に巨大地震が起きるという特徴がある。関東で大地震が起こると予測されているのは、この複雑に潜り込んでいるプレートが元へ戻ろうとするときに大きなエネルギーを発散してしまうからだ。地震にはもう一つの要因がある。
雲仙・普賢岳にもみられたような火山活動によるものだ。日本は世界的にも火山活動の活発な地域である。しかも絶えず噴火活動をしている鹿児島の桜島のように、活火山がいくつも存在している。したがって山の近くに住んでいるのであれば、自分の地域の火山状態は常にチェックしておくべきてある。