屋根の上に1m積もった時の雪の重さは、雪の密度を0.1kg/cm3とすると、1m2当たり100kg、屋根の面積を100m2とすれば10tの重量がかかる。これは体重50kgの人が200人も屋根に乗ったのと同じである。
どの程度気温が下がれば雨が雪に変わるかは、大気の状況によって大変微妙である。統計的には、地上気温が2℃、80hPa(1500m)の気温氷点下3℃~6℃が雨と雪の境目とされているが、個々の例によって幅がある。
また降雪には山雪と里雪とがある。いずれも、西高東低の冬型の気圧配置のときに降る。
山沿いや山間部に多く降る雪を言う。山雪が降るのは次のようなときである。
① 等圧線がほぼ滴北に、縦じま模様に走る。
② 上空の寒気(上空約5000m〔500hPa〕)が日本海北部や北日本にある。
③ 気象衛星やレーダーでは、雪雲やエコーが北西から南東に筋状に並ぶ。
このようなときは、北西の季節風が、日本列島の背骨にあたる脊梁(せきりょう)山脈を上昇し、山の風上側で雪雲が発達して大雪を降らせる。
里雪とは、海岸や平野部に多く降る雪を言う。なお、山と里の両方に多く降る雪を、混合型の雪と呼ぶことがある。里雪が降るのは次のようなときである。
① 等圧線が湾曲し、日本海を袋状に包む。袋型気圧配置と言う。
② 上空の寒気(上空約5000m〔500hPa〕、氷点下40℃前後)。
③ 気象衛星とレーダーでは、日本海を帯状の雲やエコーがほぼ東西に走り、この中にいくつかの渦状の雲とエコー(小低気圧)が見える。
このようなときは、大気の状態がきわめて不安定となり、平野部でも高さが6~7kmの積乱雲が発達し、雷を伴って雪が激しく降る。小低気圧は海上から上陸して強い雪を降らせ、時には山を越えて進み、晴天が続く太平洋側にも雪を降らせることがある。
日本海側に降る大雪の原因は以下のようなものが考えられる。
① 北西季節風が日本海を吹き渡るとき、シベリア大陸の沿岸から北陸までの距離が最も長い。
② 北陸沿岸には、冬でも10~14℃の高水温の対馬暖流が流れている。①と②によって、冷たい北西季節風に熱と水蒸気が大量に供給される。
③ 北陸地方の背後には、険しい脊梁山脈がびょうぶのように立っているので、水蒸気をたっぷり含んだ北西の季節風が衝突すると、上昇気流が発生して大雪が降る。
④ 寒気に伴う筋状の雲とは別に、その南に見られる帯状収束雲の持続性と進入も一因となる。