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津波の特性

目 次
津波の速さ
津波の高さ
津波の到達時間
津波の継続時間
津波の押し・引き
 
津波の速さ

津波の速さは海の深さと関係があり、深いほど速い。例えば深さが4000mの場合は、秒速200m、時速にしておおよそ720kmになる。
    
太平洋の平均水深は4000mなので、津波が太平洋を駆け抜けるときの速さは、ちょうどジェット旅客機並みの速さとなる。海岸近くでも秒速10m程度で、これは短距離ランナーでも逃げ切れない速さである。

津波の高さ

津波の特性 津波の高さ津波が海岸を襲ったときの高さとして気象庁から最初に発表されるのは、海岸に設けてある検潮所で測った潮位の変化である。潮位の記録の山と谷の差を半分にしたものが津波の高さとなる。
  
津波の高さは海岸の地形に著しく左右される。三陸海岸のように、湾の奥へ行くほど急に狭くなるリアス式の湾では、高さ20~30mになるなど高くなる場所がある。
  
また、1983年5月の日本海中部地震では、なだらかな遠浅の浜にも、場所によっては6~7mの大津波が押し寄せた。したがって、ここなら大丈夫という場所はない。

津波の到達時間

津波が海岸に到達するまでの時間は、震源までの距離と海底の地形などで決まる。気象庁では、津波警報や津波注意報を発表したあとで、検潮所のある港への津波の第1波の到達予想時刻を10分刻みで発表する。
  
明治と昭和の2度の三陸津波は、震源地は三陸はるか沖で、海岸からの距離は200kmほどであった。地震発生から津波が最初に海岸に到達するまでおよそ30分かかっている。
  
しかし、1983年の日本海中部地震のときには7分後、1993年の北海道南西沖地震では5分程度で津波の第1波がいちばん近い海岸にやって来た。津波の危険地域では強い地震や弱い揺れでもゆったりとした大きな揺れが長く続く場合は、津波来襲の危険が大きいので、とにかく避難することが肝心である。

津波の継続時間

津波は、第1波が最大とならない場合も多い。津波は日本の近海で発生した場合でも、何時間も続くことがあるが、何千キロメートル、何万キロメートルと離れた場所で発生した津波は継続時間が長くなる傾向がある。これは四方八方に広がった津波が、あちこちの陸地や大陸棚に当たってはね返ってくるためである。
  
1960年5月のチリ地震津波のときには、津波は少しずつ低くなったものの、丸2日間も太平洋岸に押し寄せた。
  
また、太平洋に比べて面積の小さい日本海の場合は、日本の近くで発生した対岸の大陸から比較的速くはね返ってくるため、継続時間が長くなる傾向がある。日本海中部地震の時は、秋田、青森沿岸に津波警報が9時間も出されたままになった。

津波の押し・引き

津波の波が押し寄せて来るときを「押し」、潮が引くときを「引き」と言う。海岸に第1波が到達するとき、通常、海底面が隆起して津波が起きたときには「押し」から、沈降して起きたときには「引き」から始まる。
  
津波は「初めに潮が引くからわかる」というように言われる場合もあるが、海岸に押し波が先に来るか、引き波が先に来るかは、震源直上の海底がどちらに動いたかによって決まり、どちらの波になるかの予測は難しい。
  
また、津波は繰り返し襲ってくるもので、第1波が最大であるとは限らない。スマトラ沖地震では、海面がかなり引いて魚が打ち上げられ、それを取りに行った住民が犠牲になった。